INTERVIEW

― ママさん社員という生き方 ―

山陽新聞社は、出産や育児を経験した女性も働きやすい仕組みを整えてきました。では実際、母として、妻として、社会人として、どのように働いているのでしょうか。“ママ社員”が本音で語り合いました。

(肩書は2017年12月現在)

総務局人事部

古舞雅子(ふるまい・まさこ)

文学部卒

編集局政治部(現報道部)、経済部、文化部などを経て2015年9月から現職。経済部在籍中に4人を出産し、17年10月に5度目の育休から復帰。12歳から1歳まで5人の子どもと夫の7人家族。
編集局文化部副部長

岡田智美(おかだ・ともみ)

文学部卒

社会部(現報道部)、整理部(現ニュース編集部)などを経て文化部在籍中の2014年3月から育休を取得。15年5月に復帰し、同年9月から現職。同業の夫と3歳の息子がいる。

続けるための制度

岡田

:入社して20数年、あらためてキャリアを重ねていたことに驚きます。実は新入社員の頃は結婚し出産しても働くんだ、という強い気持ちはそれほどありませんでした。

古舞

:私もです。でもやってみたらできていた、という感じでしょうか。初めて子どもを持った経済部記者時代に一時期、勤務時間を短縮できる制度を使っていました。終業を30分早めた午後4時半までの勤務。これだと夕方のラッシュの前に保育園へお迎えに行けるんです。短時間勤務を申し出たとき、「前例がない」「ダメ」と突き返すのではなく、「検討してみる」と反応してくれたのはありがたかったな。

岡田

:私は残業免除の定時勤務で復帰しました。ただ育休復帰してまもなく、デスク昇格を打診され、務まるか不安でしたが「後に続く人のためにもやってほしい」と背中を押され、心を決めました。当時の局幹部が関係部署に掛け合って、担当する文化面の送版時間(締め切り時間)を1時間前倒ししてくれたので、大版(ゲラ)を最後までチェックしてから退社しても保育園の迎えに間に合います。

古舞

:私もいまは定時勤務ですが、子どもの習い事の関係で始業を午前8時45分、終業を午後4時45分にしています。家庭の状況に合わせて働く時間帯を少し前後に動かせるのは嬉しい。

岡田

:わが社は長く男社会だったので、どうやったら仕事ができるか、女性社員の声を聞きながら、その都度、制度を整えてきていますね。最近では、子どもが保育園に入れず、育休復帰の期限(子どもが1歳半になるまで)内の復帰が難しくなったケースがあったけど、休業期間を延ばすことで対応してくれました。

時間のやりくり

岡田

:仕事と育児の両立で、困るのは子どもの病気かな。うちは夫も私も実家が近くないので、ピンチの時は新幹線で子守りに来てもらうことも。子どもが入院したときは、夫と私、両親も総動員で2週間ローテーションを組んで回しましたね。

古舞

:我が家も子どもは上4人がみんなけがや病気で入院しているので、その時は夫も私も病院から出勤しました。その夫も何度か入院していて、本当に両家の両親には助けられています。

岡田

:もどかしいのは、時間がないこと。以前のように、夜や休日にたびたび取材を入れることは難しい。読書や映画、展覧会を観たり、自分をブラッシュアップする時間もなかなかとれない。選択と集中、いかに効率よく仕事をするか、が課題だなあ。

古舞

:わが家の場合、朝5時から朝晩の食事を用意し、夜11時前に洗濯が終わるまで、落ち着ける時間はありません。はっきり言って大変。だけど仕事は面白い。帰宅してつい、「あー今日も楽しかった」って言うことがあるんですが、子どもたちは仕事ってワクワクすることなんだな、と感じているみたい。

岡田

:それ、とっても素敵! ベテランママは強いですね。

古舞

:時間のやりくりはうまくなります。でも、若い頃は重要な仕事をなかなか任せてもらえない、というジレンマがありました。もしも子どもが病気になったら迷惑かけるかも、という引け目もあって、やってみたい仕事があっても積極的に手を挙げられなかった。

岡田

:そうだよね。デスクとして、後輩記者の背中を押してあげられたらと思います。キャリアアップにつながりそうな仕事は「難しかったら断ってね」と前置きしてからお願いしています。その結果、定時勤務の人でも出張や残業になることもあるんだけど、やりたい仕事ならみんな頑張ってくれる。

古舞

:数日なら、実家の応援を頼んだりして都合をつけられる場合もあります。私は海外取材の出張を打診されたときは嬉しかったなあ。出張期間中、家の方は大変だったかもしれないけど、仕事上の貴重な経験にはなりました。

岡田

:長時間働けなくても努力次第でいい仕事はできるし、職場の戦力になる。頑張れるときに経験を積めるだけ積んでおいてほしいな。

仕事を見える化

岡田

:文化部には現在、私のほか定時勤務の女性記者が2人います。以前は夜にやっていたミーティングを全員がそろう午前、30分以内と時間を決めてやるようになりました。部全体の仕事を全員が確認、共有する意味で、ミーティングは大切。早めに予定がわかれば、ほかの取材のアポイントを入れられるし、代休や連休の段取りもしやすいよね。

古舞

:そういう些細なことでぐんと働きやすくなりますよね。突然言われてぱっと取材するのではなくて、1、2週間前に聞いていれば十分な下調べや準備ができるから、ミスなく、より良い仕事ができますよね。突発的に反応しなければならない仕事ももちろんあるけど、そうしなくてもいいものまでバタバタする必要はないと思います。

岡田

:家でも家族全員のスケジュールをカレンダーに記して冷蔵庫の前に貼っています。前もって夜にかかる出稿があると分かっている日は、夫に休みを取ってもらうとか、調整しています。

古舞

:私は仕事を急に抜けざるをえないリスクがほかの人よりは高いので、例えば誰かに代わってもらうとしてもすぐ引き継げるよう、デスク周りをわかりやすく整理する、ということを普段から心がけています。

岡田

:子育て中の人に限らず、家族や自分が病気になることだってある。フォローしあえる職場であることは大切ですね。

男性も女性も

岡田

:そもそも女性ばかりが子育てしているように取り上げられるのはどうなのかな。いま文化部のデスクは私含め3人いますが、男性デスク2人も共働きで、小学校のPTA役員をしたり、夕食の準備はもちろん、子どもに持たせる弁当を朝作ったりしていますよ。

古舞

:うちの夫も家事はなんでもしていますね。むしろ私がサポートしている感じです。

岡田

:どんな制度も女性の特権みたいになるのはよくないよね。子育て中の女性が働きやすい職場は、男性も、子どもを持たない女性にも働きやすい職場になるんじゃないかな。

古舞

:そうですね。記者の時は、自分の記事がよりよい街づくりにつながるはず、と思って書いてきたけど、今はそう思って働く記者や営業の人たちがより働きやすいよう、サポートする立場の職場にいます。制度は整ってきたので、さらに一歩進んで、生き生きと、働きがいのある職場にしたいです。