INTERVIEW

- 現場を駆ける先輩たち -

報道部社会班の仕事


真実を求め、伝える

 主に事件事故と司法(裁判)を任されています。朝は捜査一課や広報室など県警内の各課を回り、日中は裁判所で傍聴、夕方以降は警察幹部の自宅や弁護士事務所を訪ねて夜回り。取材や記事執筆、現場での聞き込みなども重ねます。

 特に事件事故の場合、取材相手は「話したくない」が基本姿勢。怒鳴られたり、居留守を使われたり、いろいろあります。でも、マスコミが知らせなければ、事実は限られた人にしか伝わりません。報道を通じて読者に悲惨な事実を認識してもらい、被害者に思いをはせ、自分に何ができるかを考えるきっかけにしてほしい。それが私たちの役割だと思います。

思い出


サーカスと豪雨

 岡山発祥の木下大サーカスが2018年6~9月に4年ぶりの地元公演を行うのを前に2月、サーカス担当を命じられました。開幕以降は、取材、執筆ともにほぼサーカス一色。集客がピークを迎え、さらに忙しくなるはずだった夏休みを前に起きたのが、西日本豪雨でした。

 7月6日夜に呼出電話を受け、詳細が分からないまま、浸水の影響で爆発が起きたという工場へ直行しました。暗い上に雨で視界が悪く、窓を開けたままサイレンの音を頼りに走りました。途中油のにおいが鼻を突き、大変なことになっていると悟りました。

 翌日向かったのは、倉敷市真備町。一面が水に浸かった様子を目の当たりにし、ぼうぜんとしました。混乱のただ中、ひたすら被災者の声を集め、写真を撮りました。「伝えなければ」。その一心でした。

 その後も引き続き現場を追いかけたかったですが、上司は「こらえてくれ」。サーカス取材に専念するよう指示が出ました。岡山が大変なのに、と悔しかったです。でも実は、サーカス団員も同じ気持ちでした。「こんな時に公演を続けていいのか」と。有事だからこそ明るい話題を提供したい、と気持ちを切り替えました。

 団員約70人に話を聞き、連載企画を考えました。病気と闘った人、家族の死を乗り越えた人…。皆さんそれぞれにドラマがありました。団員はテント横で共同生活をしているのですが、記事掲載後、「一緒にいても知らないことがこんなにあるんだ、記者ってすごいね」と団内で話題になったと聞きました。努力が報われたと感じた瞬間です。

私の仕事って?


知りたいことを追いかける

 “仕事”と捉えていないです。「どうしてこんなことをしたのだろう」「殺す必要があったのか」。取材をしているとわからないことが次々出てきます。疑問を解消するために走り回っている、と言ってもいいかもしれません。事件の原因が社会にあると感じることも多々あり、課題を投げかけるような記事を書きたいです。

太田 孝一(おおた こういち)

編集局報道部社会班

2014年4月入社。文学部卒。

長崎県出身。経済部、福山支社を経て2017年9月から現職で、岡山県警記者クラブに所属している。息抜きは湯巡り。銭湯は毎週、温泉は2カ月に1回は行く。