西日本豪雨特集豪雨から1年被災から復旧、復興へ

岡山県内の被害

2018年7月、「晴れの国」岡山を襲った西日本豪雨。岡山県内24市町村に大雨特別警報が発令された7月6日の雨量は、県内25観測地点のうち7地点で観測史上最大を記録した。7月の総雨量も全地点で平年の3~1・5倍に達しており、そのほとんどが5~7日の3日間に集中していた。61人(関連死18人除く)が亡くなった上、住宅8000棟以上が全半壊し、家屋の風水害では戦後最悪の大惨事となった。

61

死者

3

行方不明者

16

重傷者

161

軽傷者

2019年7月5日現在(関連死18人除く、岡山県危機管理課発表)

4830

住宅全壊

 

3365

半壊

1541

床上浸水

5517

床下浸水

定点写真で見る被災地の今

西日本豪雨で被災した県内6カ所を訪ねた。多くの場所では浸水の爪痕を目にすることはなかったが、家屋の解体や新築で風景が変わった場所もあった。被災直後と1年後の定点写真で被害を振り返る。

2018/7/7 Before
2019/6/24 After

高梁・備中広瀬駅周辺

【写真左】JR伯備線の線路にはトラックが流されるなど大きな被害が出た。右奥は備中広瀬駅=2018年7月7日【同右】備中高梁駅に向かう普通列車。伯備線は18年8月1日に運行を再開した=19年6月24日  地図を見る


2018/7/7 Before
2019/6/24 After

総社市下原地区

【写真左】浸水した総社市下原地区。工場爆発にも見舞われ、窓や扉が破損するなど大きな影響が出た=2018年7月7日【同右】一部の被災家屋が解体され、更地になったり、新築の家ができたりしていた=19年6月24日  地図を見る


2018/7/7 Before
2019/6/24 After

総社市宍粟の国道180号

【写真左】高梁川からの越水で冠水した国道180号=2018年7月7日【同右】車がひっきりなしに行き交う国道180号。豪雨時、高梁川の水位がどれだけ高かったかがうかがえる=19年6月24日  地図を見る


2018/7/20 Before
2019/6/24 After

真備図書館

【写真左】真備図書館前の駐車場には地区内から出た災害ごみが積み上げられた=2018年7月20日【同右】駐車場東側には19年4月下旬、中小事業者向けに建てられた仮設施設「復興商店街」がオープンした=19年6月24日  地図を見る


2018/7/7 Before
2019/6/24 After

岡山市北区津高

【写真左】浸水した旧国道53号沿いの家屋や車。用水路の境目なども分からない状況だった=2018年7月7日【同右】普段の住宅地。広範囲に浸水したことが分かる=19年6月24日  地図を見る


2018/7/7 Before
2019/6/24 After

岡山市東区南古都

【写真左】砂川の氾らんで浸水した国道250号=2018年7月7日【同右】車が行き交う国道250号=19年6月24日  地図を見る



西日本豪雨特集 定点写真


真備の今



豪雨以降、真備の人口流出続く

 倉敷市真備町地区で西日本豪雨以降、人口の減少が続いている。昨年7月の被災から約半年の12月末時点では、前年同月比2009人(8・8%)減の2万818人だった。月単位で増減の推移を見ると、被災直前の昨年6月は前月比で増加していたが、7月に減少に転じ、最も減少幅が大きかった8月は771人減った。それ以降、幅は少しずつ小さくなりながらも人口は減り続けている。



倉敷市真備町地区の1年

自転車編

2018年7月12日、20日、8月7日、11月2日、19年6月18日の計5回、ビデオカメラを付けた自転車で地区内を可能な範囲で移動し、生活再建へ向けた動きが進む「いま」を撮影した。




【撮影コース】自転車で倉敷市の西に位置する矢掛町から国道486号を東に向かって真備町地区へ。真備町地区を東端まで走り抜けた後、高梁川沿いを北上。途中から南西に向きを変え住宅地を走った。

空撮編

2018年7月~19年5月に撮影した空撮映像で紹介。面積の3割が浸水した被災直後や、水が引き堤防などの復旧が進む様子を比較しながら同地区の姿を伝える。




西日本豪雨特集 映像アーカイブス




ドキュメント 1年

2018年7月

西日本豪雨で浸水被害に加え、工場爆発に見舞われた総社市下原地区=2018年7月7日


7291
4300
(3800)
2540
2425
1970
1701
1436

ピーク時の避難者数(2018年7月7日)

水没した住宅から畳を運び出すボランティアたち=2018年7月14日


  • 6日

  • ・岡山、広島などに大雨特別警報。岡山県では初の発令
  • ・井原市で土砂災害、女性が死亡。総社市では冠水で14人が流され、2人が犠牲に
  • ・岡山県の伊原木隆太知事が自衛隊に災害派遣を要請
  • ・総社市でアルミ工場爆発。多数がけが
  • 7日

  • ・未明ごろから倉敷市真備町地区の小田川や岡山市東区の砂川などで堤防決壊
  • ・笠岡市の工場に土砂流入。従業員2人が死亡
  • 8日

  • ・倉敷市が真備町地区の推計被災戸数を4690戸と発表
  • 10日

  • ・岡山県内の犠牲者が54人に。行方不明5人。10市町59カ所の避難所に3900人
  • 11日

  • ・倉敷市社会福祉協議会が災害ボランティアセンター開設
  • ・安倍晋三首相が真備町地区の被災者を激励
  • 15日

  • ・石井啓一国土交通相が真備町地区視察。小田川と高梁川の合流点付け替えの前倒し方針
  • ・岡山県内の死者61人に。水害で戦後最大級の人的被害
  • 19日

  • ・豪雨被害への緊急対応のため、伊原木知事が146億円の補正予算を専決処分
  • 22日

  • ・倉敷市の公営住宅と総社市の「みなし仮設住宅」の提供開始
  • 23日

  • ・倉敷市が仮設住宅200戸の建設を岡山県に要望
  • 24日

  • ・政府が西日本豪雨の激甚災害指定を閣議決定
  • ・真備町地区の断水が解消
  • 28日

  • ・新見市草間台地区で通水。岡山県内の断水解消
  • 30日

  • ・倉敷市の伊東香織市長が災害緊急対応のため、137億円の補正予算を専決処分

2018年8月

26日ぶりに全線再開したJR伯備線で、新見駅に入る特急やくもに手を振る園児=2018年8月1日


福島県から譲り受け、建設が始まった仮設住宅=2018年8月8日、総社市秦


36日間の活動を終えた陸上自衛隊が撤収=2018年8月12日、倉敷市真備町


  • 1日

  • ・JR伯備線が全線再開
  • 2日

  • ・天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)が皇居で伊原木知事に励ましの言葉
  • ・政府が被災地へ総額1千億円規模の「生活・生業再建支援パッケージ」を公表
  • ・7月6日の雨量が岡山県内7地点で観測史上最大と判明
  • 3日

  • ・岡山県内10河川18カ所の決壊堤防で仮復旧工事完了
  • 4日

  • ・水没した倉敷市真備支所で一部業務再開
  • 5日

  • ・JR津山線が全線再開
  • 7日

  • ・真備町地区の避難指示解除。市内全域の解除は32日ぶり
  • 8日

  • ・中国自動車道北房IC―新見ICの通行規制が解除。岡山県内の高速道路が全面復旧
  • ・東日本大震災被災地の福島県から総社市へ仮設住宅搬入
  • 10日

  • ・小田川と3支流の堤防決壊は「越水し、外側が削られたため」と国調査委が発表
  • 12日

  • ・真備町地区の人命救助、災害ごみ撤去など36日間の活動を終えた陸上自衛隊が撤収
  • 16日

  • ・倉敷市真備支所が40日ぶりに全業務再開
  • 20日

  • ・豪雨災害の初動対応などを検証する岡山県の災害検証委員会が初会合
  • 24日

  • ・岡山県が一般会計と特別会計で計506億円を増額する補正予算案発表
  • 27日

  • ・岡山市が被災者支援本部を設置。災害対策本部は解散
  • 28日

  • ・倉敷市が被災者の生活再建へ過去最高額となる250億円の一般会計補正予算案発表
  • 30日

  • ・岡山県が災害対策本部を廃止、「復旧・復興推進本部」を設置
  • 31日

  • ・JR姫新、因美、芸備線の一部区間で運行を再開し、岡山県内のJR全線が開通

2018年9月

倉敷市の真備総合体育館で被災者を励まされる天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)=2018年9月14日


  • 3日

  • ・真備町地区で2学期始業式。浸水した小中学校の児童・生徒は市内の仮校舎へ通学
  • ・井原鉄道が全線で運転再開。岡山県内の鉄道不通区間が解消
  • 8日

  • ・建設型仮設住宅の引き渡しが倉敷市船穂町地区でスタート
  • 14日

  • ・天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)が真備町地区で被災者を見舞われる
  • 16日

  • ・倉敷市が半壊以上の家屋や事業所の「公費解体」の受け付け開始。岡山市は28日から

2018年10月

真備東中のグラウンドに完成したプレハブ校舎に登校する真備中の生徒=2018年10月1日


  • 1日

  • ・真備町地区の2中学校がプレハブ校舎で授業開始。地元での授業は7月5日以来
  • 14日

  • ・真備町地区で豪雨100日の追悼行事。寺院では法要も
  • 18日

  • ・官民で災害対応に当たる「災害支援ネットワークおかやま」発足
  • ・伊原木知事が東宮御所に招かれ、皇太子さま(現天皇陛下)に復旧・復興状況を説明
  • 22日

  • ・倉敷市が初動対応の検証を庁内で進める方針表明
  • 25日

  • ・倉敷市の災害ボランティアセンターが真備町地区内に本部を移転
  • 26日

  • ・早島町が1世帯への避難指示を解除。3カ月半ぶりに岡山県内全域で指示解除
  • 31日

  • ・被災後の体調悪化で亡くなった岡山県内3市の高齢者5人を「災害関連死」と判定

2018年11月

倉敷市真備町地区で始まった「復興懇談会」=2018年11月3日


  • 1日

  • ・総社市が早期復興を目指し「復興推進室」設置
  • 3日

  • ・倉敷市が真備町地区の復興計画策定に向けた「復興懇談会」を開始
  • 7日

  • ・国の補正予算成立。豪雨の復旧・復興に5034億円
  • 13日

  • ・倉敷市が真備町地区で被災建物の「公費解体」に着手
  • 15日

  • ・岡山県が豪雨による農林水産関係被害額を266億円と発表
  • ・岡山県が被災した子どもに見舞金2万円を支給する制度創設表明
  • 21日

  • ・倉敷市が「真備地区復興計画」の策定に向けた委員会を設置し、同地区内で初会合
  • 28日

  • ・倉敷市が初の備蓄倉庫を新設方針発表。2020年度中の完成を目指す

2018年12月

最後の避難者が退所し、片付け作業を行う倉敷市職員=2018年12月13日


  • 3日

  • ・真備町地区の中核医療機関「まび記念病院」が入院患者の受け入れを再開
  • 13日

  • ・倉敷市が市運営の最後の避難所を閉鎖
  • 14日

  • ・倉敷市が市災害対策本部を解散
  • ・政府が高梁川など全国116河川で堤防の強化、かさ上げといった緊急対策を決定
  • 20日

  • ・国税庁が被災地の土地の評価額減額を発表。基準路線価より最大30%引き下げ
  • 25日

  • ・総社市が「市復興ビジョン」発表。5年間でインフラや防災拠点の整備方針示す
  • 27日

  • ・倉敷市が真備町地区「復興ビジョン」発表。緊急避難場所の確保、治水対策など盛り込む




2019年1月

運行を全面再開した真備地区コミュニティタクシー=2019年1月4日


  • 4日

  • ・真備町地区で「コミュニティタクシー」の運行が全面再開
  • 6日

  • ・豪雨発生から半年。岡山県内で仮住まいの被災者約9800人
  • 29日

  • ・倉敷市の審査会が新たに2人を「災害関連死」と判定。岡山県内の関連死7人に
  • 30日

  • ・豪雨発生時に真備町地区住民の43%が避難せず、とのアンケート結果を倉敷市が公表

2019年2月

全業務を再開した病院の待合スペースで診察の順番を待つ患者ら=2019年2月1日


  • 1日

  • ・「まび記念病院」が約7カ月ぶりに全面再開
  • 8日

  • ・倉敷市が約1988億円の19年度当初予算案発表。小田川堤防拡幅工事の測量実施など
  • ・倉敷市が被災家屋の公費解体申請期限を6月28日までとする3カ月間の延長を表明
  • ・岡山市が受け入れ対象者を明記した福祉避難所の設置・運営マニュアルの改定案を示す
  • 15日

  • ・岡山県が7348億円の19年度当初予算案発表。豪雨対応は62事業、311億円

2019年3月

卒業を祝い風船を飛ばす川辺小児童。卒業式は薗小体育館で行われた=2019年3月23日


  • 11日

  • ・東日本大震災発生8年。岩手日報(岩手県)が真備町地区の話題などの特別号外配布
  • 13日

  • ・生徒の約8割が被災した倉敷市立真備東中で卒業式。真備中は14日に実施
  • ・真備町地区で「復興商店街」の入居店舗が営業を開始
  • 23日

  • ・校舎が被災した真備町地区の川辺、箭田小で卒業式。計96人が巣立つ
  • 25日

  • ・倉敷市が真備町地区の復興5カ年計画を公表。総社市も復興計画を発表
  • 28日

  • ・岡山市が災害時の初動対応指針を策定

2019年4月

浸水被害を受けた倉敷市真備支所1階。改修を経て約9カ月ぶりに業務を再開した=2019年4月1日


  • 1日

  • ・倉敷市真備支所1階で約9カ月ぶりに業務再開
  • ・倉敷市災害ボランティアセンターが「まび復興支援ボランティアセンター」に改称
  • ・国土交通省が真備町地区に「高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所」を開設
  • 26日

  • ・倉敷市が豪雨発生時の初動対応の検証結果報告書を公表。課題と改善策を明示

2019年5月

  • 15日

  • ・岡山県などが「重要水防箇所」を従来の2倍の2466カ所にすることを決定
  • 18日

  • ・国と岡山県、倉敷市が小田川の堤防上部を拡幅する強化工事のスケジュールを発表
  • 27日

  • ・倉敷市教委が真備町地区の児童生徒アンケート結果を公表。3割超がイライラや不安
  • 29日

  • ・気象庁が災害発生が予想される際の行動を5段階で示す「大雨・洪水警戒レベル」開始
  • 30日

  • ・岡山県が、国の新基準で「防災重点ため池」を再選定。従来の約18倍の4028カ所に
  • ・岡山県が仮設住宅入居者に住宅再建の意向調査を実施すると表明
  • 31日

  • ・新たに6人を災害関連死と判定。岡山県内の関連死は計18人に

2019年6月

10河川18カ所に上った岡山県内の全決壊箇所の原形復旧工事が、豪雨発生から約11カ月で完了=小田川の決壊箇所


  • 3日

  • ・倉敷市が災害公営住宅の第1弾として真備町川辺地区に40戸を整備する計画を公表
  • ・倉敷市が、被災家屋の公費解体申請期限を12月27日までとする再延長を決定
  • ・岡山県が義援金の受付期間を20年6月末まで延長
  • 15日

  • ・豪雨で決壊した岡山県内10河川18カ所の原形復旧工事が完了
  • 16日

  • ・倉敷市で小田川と高梁川の合流地点付け替え事業の着工式。23年度末の完成目指す
  • 25日

  • ・中国地方整備局が苫田(岡山県鏡野町)など6ダムで洪水予想時に事前放流を行うと発表
  • 28日

  • ・真備町地区の小田川2支流など岡山県管理の3河川5カ所でかさ上げなどの堤防改良完了


西日本豪雨岡山特集


写真館

記者が撮影した岡山県内の被災地の様子を写真で伝えます。

定点写真

2枚の定点写真で、倉敷市真備町地区の被災時と復興に向かうまちの姿を紹介します。

タイムライン

観測史上最大を記録した雨量をはじめ、ライフラインや交通網の復旧などのデータから被害の全容をひも解きます。