西日本豪雨

2018年7月上旬、停滞した梅雨前線や台風接近の影響で西日本を中心に降り続いた記録的な大雨。気象庁は6~8日に岐阜、京都、兵庫、鳥取、岡山、広島、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎の11府県に大雨特別警報を発表した。土砂災害や河川の氾濫が相次ぎ、豪雨災害としては平成最悪の200人以上が犠牲になった。岡山県では、被害が大きかった倉敷市真備町地区を中心に河川決壊や土砂崩れが同時多発し、死者61人(関連死除く)、住宅全半壊計8195棟、床上・床下浸水計7058棟という甚大な被害を生んだ。

ドローン動画

定点写真

  • 倉敷市真備町の末政川周辺

    両岸の堤防が決壊し、濁流が住宅地に流れ込んだ。被災後、大型土のうなどを積み上げて元の堤防の高さに戻す仮復旧工事が24時間態勢で行われ、1カ月後に完了。2021年6月現在もかさ上げなど機能強化の工事が進む。完成目標は23年度。
  • 末政川の決壊地点

    小型無人機ドローンで、決壊地点の西側から北東方向を撮影した。工事では東岸の40メートルと110メートル区間、西岸の150メートル区間の3カ所で堤防を0.7~1メートルかさ上げし、6~10メートル拡幅した。
  • 倉敷市真備町の真備図書館

    1階部分が完全に浸水し、当時館内にあった本とCD約12万7千点全てが水没。天井は剥がれ落ち、床には泥まみれになった本が散乱した。2019年から近くの真備公民館で業務を再開し、21年1月30日、元の場所で再開館した。
  • 倉敷市真備町の川辺橋南

    国の国土強靱(きょうじん)化3カ年緊急対策の一環で、高梁川の9カ所で堤防強化や川底の掘削、樹木の伐採などが実施された。倉敷市真備町川辺地区では2019年8月から、約1.3キロの区間で護岸工事などが行われている。完成は22年春の予定。
  • 南山(倉敷市)の掘削工事

    小田川と高梁川の合流地域を下流部に付け替える工事が2019年6月に始まった。最も大掛かりな南山(標高76メートル、倉敷市)は山城跡も含めて全て取り除き、さらに10メートル掘り下げて水を流す計画だ。23年度の完成を目指している。
  • 岡山市砂川

    平島学区を中心に約750ヘクタール、約2200棟が浸水した。川の水があふれて外側が削られる「越水」と、水がしみこんで崩れる「浸透」の両方が起きて決壊したとみられている。岡山市東区沼の決壊地点(事業延長0.5キロ)の工事は2020年6月末で完了した。

ドキュメント

2020年7月
  •  6日 豪雨から2年。新型コロナウイルス感染症対策で規模を縮小し、倉敷、総社市で追悼式が行われた。岡山県内では依然、1281世帯2992人が仮設住宅での生活を余儀なくされている
     9日 倉敷市真備町地区の住民が国などに損害賠償を求めて岡山地裁に起こした集団訴訟で、新たに4世帯5人が、計約9060万円の賠償を求めて追加提訴
    28日 倉敷市真備町地区に整備する「災害公営住宅」の2回目抽選会があり、全91戸の入居世帯決まる

  • 倉敷市真備町地区の仮設住宅。岡山県内では今も1281世帯が仮設住宅での暮らしを強いられている(小型無人機で撮影)
8月
  • 31日 倉敷市の審査会が新たに3人を「災害関連死」判定。県内31人に

9月
  •  1日 浸水被害を受けた建部町総合スポーツセンター(岡山市)が全面再開
     8日 仮設住宅709世帯が入居期限1年延長
    11日 倉敷市教委が被災小中学生へのタクシー通学支援を21年3月で終了する方針を表明

11月
  • 19日 倉敷市と総社市の審査会が各1人を「災害関連死」判定。県内33人に

12月
  • 28日 仮設住宅の入居期限再延長決まる

2021年1月
  • 12日 総社市昭和地区の復興住宅(災害公営住宅)で入居始まる
    28日 倉敷市の審査会が新たに1人を「災害関連死」判定。県内34人に
    30日 被災した倉敷市立真備図書館(同市真備町箭田)が再開館

  • 総社市が整備した復興住宅
2月
  • 11日 真備健康福祉館(まびいきいきプラザ、倉敷市真備町川辺)が再オープン

3月
  •  3日 倉敷市真備町地区の住民が国などに損害賠償を求めて岡山地裁に起こした集団訴訟で、新たに4世帯9人が計約1億3280万円の賠償を求めて追加提訴
    15日 真備町地区で1棟目となる「災害公営住宅」の川辺団地(同町川辺)が完成
    25日 災害支援に向け、ボランティア団体などが情報共有や活動の拠点にしてきた「まび復興ボランティア団体・NPOシェアオフィス」(同町有井)が閉所

4月
  •  1日 倉敷市真備町地区の末政川に架かる有井橋(同町有井)の架け替え工事に伴い、橋を含む周辺の一部区間を通行止め
     8日 倉敷市真備町の災害公営住宅、箭田南(同町箭田)、有井(同町有井)の2団地が完成。先行の川辺団地と合わせ整備が完了

  • 完成した災害公営住宅の箭田南団地
5月
  • 29日 高梁市落合町近似の「陸閘(りっこう)」の改良工事完了

6月
  • 21日 県が「被災者生活再建支援制度」の申請期限を来年8月4日まで延長すると発表
    24日 被災した倉敷市真備町箭田の文化施設「マービーふれあいセンター」が約3年ぶりに業務を再開
    26日 「マービーふれあいセンター」再開を記念して、囲碁の七大タイトル戦の一つ第46期碁聖戦5番勝負の第1局を開催

  • 「マービーふれあいセンター」の外観。真備町地区ゆかりの奈良時代の学者・政治家吉備真備が中国に渡った遣唐使船をイメージしている