SDGsへの取り組み

 山陽新聞社は、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた世界の報道機関などの枠組み「SDGメディア・コンパクト」に2022年7月30日付で加盟しました。

 1879年の創刊以来、岡山県を中心にした東瀬戸圏の報道機関として、地域とともに歩んできました。これまでの言論・報道、事業活動そのものが、一貫して地域の発展、再生を目指したものであり、まさにSDGsの達成に貢献するもの、と自負しています。

 特に、2020年には、経営方針に「SDGsで地域と新聞の未来を開こう」を掲げて、SDGsを軸に据えた活動を積極的に展開しております。

連続シンポジウム「SDGs地域課題を探る」の様子 「みんなに優しいファッション」をテーマに開いた連続シンポジウム「SDGs地域課題を探る」で、浴衣をリメイクした服を着て壇上に立つ高校生ら=2022年5月14日、山陽新聞社さん太ホール

 まず報道では、岡山県内の自治体や企業、大学による先進的なSDGsの活動や、新型コロナウイルスの感染が広がる中で生まれた人々の支え合いを掘り下げて紙面や電子版で紹介してきました。

 イベントでは、2021年から「SDGs 地域課題を探る」と題した連続シンポジウムを主催し、これまでに「食品ロス」「みんなに優しいファッション」など、さまざまなテーマを取り上げています。また、クラウドファンディングや新たな基金の創設・運用を通じて、さまざまな人を資金面でバックアップもしています。

 2021年度からは、3カ年の中期経営計画に「誰一人取り残さないメディアに」と明記し、SDGsの理念を具現化する一層の決意を掲げました。紙とデジタルで地域の隅々まで情報を届け、地域と地域、人と人をつなぎ、安全・安心を高めるゲートウェイとしての役割を果たしたいとの思いを込めました。

 具体的な取り組みをいくつか紹介します。

吉備の環プロジェクト

SDGs17の目標のうち、11番目 住み続けられるまちづくりを

 2021年秋から、岡山県などの古代の呼び名「吉備」から名付けた「吉備の環プロジェクト」を始めました。岡山県内の三大河川や旧街道を記者が歩き、地域の魅力を再発見する連載記事と、本社とグループ会社社員の3人一組でつくるチームが地域を回って住民の声を聞く活動の二つを柱とし、これらを通じて得た情報を基に、住民と一緒になって地域の課題解決や魅力創出に向けたアクションを起こしています。例えば、中国山地の小さな村で、地元産ヒノキを使ったエレキギター製作を起点に村産材の高付加価値化に努めるなど、地域再生の後押しを進めています。

NIE(教育に新聞を)活動

SDGs17の目標のうち、4番目 質の高い教育をみんなに

 「質の高い教育をみんなに」という目標では、NIE(教育に新聞を)活動といって、小中学校に出前授業に行き、新聞記事の読み方を講義したり、毎週水曜日付で子ども新聞「さん太タイムズ」を発行したりして、新学習指導要領が目標に掲げている「主体的・対話的で深い学び」に努めています。

 また、岡山県早島町にある印刷工場内の教育・研修施設「さん太しんぶん館」を開放し、見学、研修を通じて、メディアリテラシーを中心とした青少年教育に取り組んでいます。

KOTOMO基金創設

SDGs17の目標のうち、1番目 貧困をなくそう

 子どもたちを誰ひとり取り残さない―。特定非営利活動法人・岡山NPOセンター、社会福祉法人・山陽新聞社会事業団とともに「KOTOMO基金(ことも基金)」を2021年5月26日に創設しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、困難な状況にある子どもや子育て家庭を支えている市民活動を後押ししています。

 個人や企業から寄付を募り、困窮家庭を訪問しての食料支援・相談、虐待やDV(ドメスティックバイオレンス)被害者らの緊急避難場所の提供、子どもたちが安心して過ごせる「居場所」づくりといった活動に当たっている団体などに配分します。

 基金の名称は「子ども」と「子とともに」を合わせた造語で、支援の手を伸ばし、子どもたちとともに地域の未来をつくっていきたいという思いを込めました。

親子向けのエコキャンプ

SDGs17の目標のうち、13番目 気候変動に具体的な対策を

 地球温暖化を防ぐことも急務です。2010年10月、当社は改正省エネ法に基づく「特定事業者」に指定されたのを受け、同年12月に社内に「省エネルギー推進委員会」を発足させました。特定事業者には電気、ガスなどのエネルギー使用量を毎年1%以上削減するよう努力することが義務付けられているため、ウォームビズやクールビズのほか、本社や新屋敷町ビルへLED照明を導入するなど、温暖化対策を積極的に進めています。

エコキャンプの様子 「エコキャンプ2022」(国土緑化推進機構、山陽新聞社などでつくる実行委主催、ネッツトヨタ岡山特別協賛)で、自転車などをこいで人力発電に挑戦する子どもたち=2022年7月23日、真庭市内

 環境問題や防災といったテーマを積極的に取り上げて記事にしているほか、毎年夏には、親子向けのエコキャンプを主催し、次世代へのSDGsの普及に努めてきました。

 岡山県は教育・研究機関や自治体、経済界が早くからSDGsに取り組む「先進県」です。地元産学官のトップでつくる連携組織「おかやま円卓会議」では当社社長が座長を務め、活動の一環として「おかやまSDGsアワード」を2020年度から行い、県内の優れた取り組みを表彰しています。

 一般社団法人岡山経済同友会でも、当社社長が代表幹事だった2018年度から、同友会活動の重点施策にSDGsを位置付け、けん引役を果たしてきました。今後も地域と一体となって機運をさらに盛り上げ、持続可能で安全、安心な地域づくりの実現に寄与してまいります。


 山陽新聞社は、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えて気候変動に歯止めをかける機運を盛り上げるため、国内のメディア有志と国連広報センター(東京)が展開中のキャンペーン「1.5℃の約束」に参加しています。