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2025トップインタビュー




「船」を前に進めるスペシャリスト
 —業界の現状を聞かせてください。
 世界の新造船建造需要は高水準を維持し、加えて、国際海事機関(IMO)が国際海運における2050年のGHG排出ゼロを目標に掲げていることから中長期的にも大幅な需要が見込まれ、マーケットは活況を呈しています。特にカーボンニュートラルを見据えた代替燃料への転換が注目され、アンモニアや水素など、いずれの代替燃料であっても従来の重油よりコストが高くなるため、船自体の推進性能はこれまで以上に重要視されています。
 当社は、舶用プロペラ生産シェアが海外で約3割、国内でほぼ100%を占めるトップメーカーとして多くの引き合いをいただいています。
 —最近の御社の取り組みは。
 事業領域を拡大し、新製品開発や国内外のパートナーとの資本提携を通じて省エネ付加物や舵などを含めた船の推進性能の統合最適化を追求しています。具体的には、船舶の推進効率改善へのアプローチとして、船体と海水間の摩擦抵抗を低減する空気潤滑システムの開発や自律運航船への取り組みを加速。実海域における推進性能向上のため、就航船向けのプロペラ換装(レトロフィット)や省エネ付加物の追設等の提案も進めています。
 また、主力の玉島工場では、プロペラの大型化や旺盛な需要増加に対応できるよう、生産能力を拡充しています。グローバル化や事業領域の拡大を支える人材育成、そして社員の成長を支えるための、健康的で安全・安心・快適な職場環境の整備にも力を入れています。
 —今後の展開は。
 Vision2036のスローガン「BEYOND PROPULSION(ビヨンド・プロパルジョン)」を掲げ、従来の推進性能を超えた価値の追求により、世界中の船をより環境負荷の少ないGreen&Smartなものにすることを目標に、実際に航行する気象や海象での検証実験を進めるとともに、自律運航も見据えた操船性能や最適航路の追求など、包括的な支援を実現していきます。「プロパルジョン(推進)」は、単に船を物理的に前に進めるということだけではなく、環境規制や船員不足といった業界が抱える課題解決にも貢献し、業界全体を「前」に進めるスペシャリストであり続けたいと考えています。来年、創業100周年を迎える節目に、新たな航海を続けていきます。




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企画・制作/山陽新聞社広告本部
※2025年4月1日付 山陽新聞朝刊別刷り特集に原則掲載したものです。
※役職名や内容は原則取材時のものです。

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