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世界の船とともに次の100年へ
—造船業界の現況は。世界的な海上輸送量の増加や、過去に建造された船舶の代替え需要の高まりで、新造船の建造需要は右肩上がりです。政府が重点投資する17の戦略分野の一つに選ばれたことも追い風となっており、業界自体が注目を集めていると感じます。国際海事機関(IMO)は2050年までに国際海運分野で温室効果ガスを実質ゼロにすることを目指しており、カーボンニュートラル実現に向けた動きはさらに加速するでしょう。
—現況を踏まえた取り組みは。
生産能力の増強を急いでいます。本社工場(岡山市東区上道北方)では、船の進む力を引き上げる「アジマス推進器」の専用工場を新設。主力の玉島工場(倉敷市玉島乙島)は、羽根の複雑な曲面を高精度に削る翼面加工機の最新機を導入して切削スピードを向上させました。コストの高い代替燃料への転換が進めば、船の推進性能はより重要視されます。プロペラに加え、ラダー(かじ)や省エネ付加物を組み合わせた統合設計による製品開発を進めるとともに、就航中の船の推進器を交換して性能を改善する「レトロフィット」にも力を入れていきます。
—岡山発のグローバル企業として、存在感を示されています。
昨年は米国の関連会社から欧州のプレジャーボート用プロペラの製造販売事業を買収したほか、海運造船市場の拡大が期待されるインドネシアでは推進器の販売・修理を担う合弁会社を設立。日本以外で9カ国に拠点を設けており、営業に限らず、人事、財務、調達など、どの部署でも海外で活躍する機会があります。世界各地のニーズに合わせ、船の大きさを問わず製品の開発、設計、製造を担えるのが当社の強み。今後も国内のマーケットを大切にしながら国際競争力の強化を図っていきます。
—今年は創業100周年。抱負を。
造船会社や船主、地域の方々に支えられて節目を迎えられたことに感謝いたします。プロペラは一品受注生産の工業製品。日々変化するニーズに応え、究極の顧客志向を貫くという哲学は、今後も変えるつもりはありません。その上で、次の100年に向けた成長戦略を描いていきます。「船を前に進めるスペシャリスト」として、環境対策や安全運航、船員の労務負担軽減といった課題を解決するソリューションを提供し、実海域で推進するプロペラのように業界を前へと導きます。




山陽新聞社