
2025トップインタビュー



微生物インダストリーを共創
—近況をお聞かせください。昨年は、新中期経営計画が開始された年でした。当社は、2050年を見据えた開発ビジョン「世界で『微生物インダストリー』を共創」を掲げております。微生物インダストリーは、微生物の潜在能力を高度に応用利用するものづくりのことです。新中計では「世界の微生物インダストリー分野で存在感を発揮し、共創に動き出す」をテーマに、長年培った麹(こうじ)造りの技術の応用で固体培養技術を新分野に生かす取り組みにも注力。食品副産物や未利用資源を麹としてアップサイクルするプロジェクト「Enz Koji」を開始しました。また展示会やセミナー、寄付講座「岡山大学微生物インダストリー講座」のシンポジウムを通じて取り組みを積極的に発信しました。その結果、「微生物インダストリープラットフォーム」を構築するに至りました。現在はこの基盤を生かし、新たなビジネスモデルの構築に注力しています。
—「微生物インダストリープラットフォーム」について教えてください。
微生物や固体培養技術を活用し、食品残渣や副産物、未利用資源の高付加価値化を支援する仕組みです。微生物培養から事業化支援までを一貫して提供します。この取り組みは、慶應義塾大学発のバイオベンチャー「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ」をはじめ、アカデミアや研究機関、協力企業とのパートナーシップによって支えられています。連携を通じて醸造機械メーカーからソリューションプロバイダーへと進化し、新たな産業での価値創出に貢献してまいります。
—「おかやま子育てしやすい職場アワード」を受賞されました。
2001年の社長就任以来、子育て支援制度の充実をはじめ全社員が働きやすい環境づくりを進めてきました。「働きがい」のある職場を目指し、キャリア形成支援にも注力。評価制度も「量」ではなく「質」を重視する仕組みを導入しました。また、社内イベントの開催、さまざまなライフステージに対応した制度やキャリア支援制度の充実により、社員同士が尊重し支え合う風土を醸成しています。これらの取り組みにより、女性社員の育休復帰率は16年連続100%、出産・育児による離職ゼロ、直近2年間の男性育休取得率92・8%となりました。今後も「働きやすさ」と「働きがい」を両立し、多様な人材が活躍できる環境を整え、持続的な成長を目指してまいります。