
2025トップインタビュー



官民連携で地域づくり貢献
—スローガン「共創による新たな領域の拡大」についてお話しください。人口減や少子高齢化の影響で、住宅業界は厳しい状況です。全国の新設住宅着工戸数は、最盛期の1970年代前半には180万戸超でしたが、ここ数年は80万戸代で推移。2040年には40〜50万戸まで落ち込むとの予測もあります。いまいちど社員一人一人がパーパス(存在意義)を考え、官民連携による地域づくりで中国地方・岡山県に貢献していきたいと心を新たにしています。当社は戸建て住宅のイメージが強いですが、マンションや中古リノベーションなどの事業も取り組んでおり、お客さまの多様化に合わせて事業のポートフォリオ(構成内容)を見直していく考えです。
—コンパクトシティーを志向したまちづくり事業が全国で進んでいます。
住居と医療、介護、子育て支援施設などを融合させたコンパクトシティー型のまちづくり事業を「ASMACI(アスマチ)」というブランドで進めています。全国では千葉県浦安市を皮切りに、神奈川県藤沢市、静岡県三島市などで展開。神戸市では、30年前の阪神・淡路大震災で被害を受けた新長田地区の再開発の一環で、マンションと病院、防災公園を組み合わせた施設を建設しました。今後、中国エリアにおいてもまちのランドマークとなる住まいづくりを推進し、新たな価値を生み出していきたいと考えています。
—南極での建物を手がけるなど、先進技術への挑戦をグループ全体で続けておられますね。
ミサワホームでは1968年以来、南極に36棟・約5900平方メートルの建物を建築。今年の第67次南極地域観測隊員には当社の社員が選ばれました。この他、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、月面有人拠点の開発を視野に入れた研究を進めています。安心して暮らせる住まいの提供に向け、培った技術や知見を自然災害の多い日本の住宅づくりに還元しています。
—中古住宅の再生に向けての取り組みをお聞かせください。
輸送費、資材価格、人件費がいずれも上がる中で新築住宅の価格は高騰。一方で地方では都市部でも空き家が増え、まちの空洞化が深刻です。当社では空き家や中古住宅を買い取り、リフォームや耐震補強工事をして再生しています。優良な再生住宅をお客さまに提供するだけでなく、地域活性化にも貢献していきたいと考えます。