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2025トップインタビュー




万博で木造建築をアピール
 —木材業界の現況はいかがですか。
 ウッドショックでは一時的な木材不足から価格が高騰しましたが、現在はだぶつき気味で下落しています。国内の木材需要が低下しているからです。住宅着工戸数、一戸当たりの面積とも減少が続き、一方で国産材の多くが伐採期に入り供給過多になっています。輸出できればよいのですが、コストなどの面で他国に負けない競争力は備わっていません。輸出力の強化と新たな需要の開拓が業界の大きな課題です。
 —今月開幕の大阪・関西万博は木造建築をアピールする絶好の機会です。
 メインの建物となる周囲約2キロの円形木造大屋根「リング」に、当社は全体の3分の2の量となるCLT(直交集成板)や集成材を供給しました。ほぼ完成したリングを間近で見たときは迫力に圧倒されました。あれだけの木材で構成された建造物は世界中どこにもない。ほかにも意匠を凝らした木造パビリオンがいくつもあり、快適で環境にも優しい木の魅力を国内外の来場者に感じてもらえると思います。
 —会長を務める日本CLT協会もPRに努めています。
 優れたCLT建築を表彰する「CLT OF THE YEAR」を、協会設立10周年を記念して昨年初めて開きました。全国から77件の応募や推薦があり、うち7件が入賞。今後も毎年表彰をしていき、CLTを使った建物をより多くの人に知ってもらえるようにしていきます。CLTは軽さや強度、断熱性など建材として優れ、建築物には当社のものを含め多くの見学者が訪れています。この関心の高さを普及につなげられればと考えています。
 —真庭市久世地区に新たな物流拠点を整備中です。
 同地区の工場跡地6万平方メートル余りに集成材などの製品や原材料を保管する倉庫を建てています。間もなく使用を始めます。この敷地には若手社員が考えたCLT建築の社宅も新設します。来年に予定される完成が楽しみです。
 —官民出資の「真庭バイオマス発電」の社長も務めておられます。発電所の稼働から今年で10年です。
 木くずなどを燃料とする出力1万キロワットの発電所ですが、運営は極めて順調です。売電収入があるほか、燃料となる木の枝や皮などを調達する木材組合の雇用を生み、森林所有者にも収入をもたらします。よい循環ができています。チャンスがあれば新たな発電設備の建設も検討したいと思っています。




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企画・制作/山陽新聞社広告本部
※2025年4月1日付 山陽新聞朝刊別刷り特集に原則掲載したものです。
※役職名や内容は原則取材時のものです。

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