
2025トップインタビュー



取引先の課題解決方法を提案
—海外展開の状況はいかがですか。得意とする工作機械事業の国内市場は成熟し、成長の余地があまり残されていません。一方で、高精度の加工技術がまだ日本ほど導入されていない海外は伸ばす余地があるため、欧州、北米、中国、東南アジアでの販売を強化しています。昨年は、高精度の機械需要が高いドイツの営業所を現地法人化しました。海外の販売比率は6割まで高まっています。
—国内はどうでしょうか。
成熟しているとはいえ、別の方法で伸ばせると考えています。工作機械を売るだけでなく、それを使って取引先の課題を解決するソリューションの提案です。昨年から自社のマシニングセンター(MC、複合工作機)を使う顧客企業の従業員を対象に、金型加工の講習会を始めました。機械を操作する際のポイントを説明し、加工技術や品質の向上に役立ててもらう狙いです。「モノを売る」から「コトを売る」への転換を図り、国内では付加価値を高めていきたいと思っています。
—技術開発にも力を入れています。
人手不足が叫ばれる中、生産性を高めるために自動化が欠かせません。そこで、加工する金属素材の搬入・搬出などを自動化したMCを開発し、昨年から本格的に受注を始めています。夜間や休日も無人で稼働させることができます。自動化を後押しする製品として積極的に売り込んでいく考えです。
—新しい取り組みも始めました。
産業機械も当社の事業の柱にしたいと思っています。昨年12月に東京で開かれた半導体関連の展示会「セミコン・ジャパン」に、高い繰り返し位置決め精度と動特性の両立を目指した半導体製造装置向けステージを出品し、好評でした。今は工作機械8割、産業機械2割ですが、産業機械で3分の1まで伸ばしたいと考えています。
—地域貢献についてもお聞かせください。
ものづくりに興味を持ってもらいたいと、小学生を対象に昔ながらの遊びを競う「遊びのオリンピック WAZA—One GP(ワザワングランプリ)」を2008年から年1回、福山の企業4社と一緒に開いています。新型コロナウイルスの影響で中断しましたが、23年に再開しました。競技はベーゴマやめんこなど5種目で、当社は厚紙と竹串で作る紙とんぼで飛距離を争う競技を担当し、優勝者にアルミで自作したトロフィーを贈っています。