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2026トップインタビュー




儀礼文化を何よりも尊びつつ
 —葬祭業の業界動向は。
 少子高齢化が進む中ですが、葬祭業にとっての市場規模はしばらく拡大基調であると言えます。ただ、葬儀自体のトレンドは、家族葬や一日葬など小規模化が顕著です。長引く不況に加え、コロナ禍を経ての価値観の変化も大きく作用しているのでしょう。
 そんな中、「より手軽な葬儀」をうたい、異業種からの参入も多くなりました。とりわけネットでのコンタクトポイントを前面に打ち出しているわけです。葬儀社選びを含め、従来の地縁・人縁を縦軸に、故人をお見送りする想(おも)いが集うという葬儀の在り方が、大きく変容してきていると言えるでしょう。取扱件数は横ばい、もしくは微増していっても、葬儀自体の簡素化の流れから平均単価が下がって売上高は減少しつつあるというのが現況になります。
 —株式会社いのうえの事業展開は。
 「儀礼文化」の担い手としての誇りと使命感を常に社員全員で共有し、それを実践しようという企業哲学は揺るぎません。儀礼文化の何たるかを見つめ、それを何よりも大切にしていく。具体的には、「葬儀葬祭は人間の尊厳に最も近い仕事である」という信念を貫き、故人はもちろん、お見送りに集うすべての方々の想いにお応えできるご葬儀を具現化させていただく。さらに、遺された方々へのケアにまでも心を尽くす。形だけのホスピタリティーではなく、「心」対「心」、「人間」対「人間」のおもてなしを実践していくことこそが、私たちの矜持(きょうじ)です。
 それは、古いしきたりに固執することではありません。かつて、ホール葬というスタイルに先鞭(せんべん)をつけ、料金の明瞭化をいち早く断行したのも当社でした。その歩みは、改革の歴史でもあったのです。もちろん、世の中がどのように変わろうとも、「葬儀屋さんである前に、頼れるご近所さんでありたい」というスタンスは不変。常により良きものを追求していきます。
 —4期12年務められた倉敷商工会議所会頭職を退任されました。
 微力ながらも多くの方々のお力添えもあり、念願の倉敷商工会館の完成など、重責を果たすことができたかと思います。3年後に100周年を迎える倉敷商工会議所にふさわしい会頭として、大原あかね氏に託すこととなりました。ご承知の通り、氏は初代会頭・孫三郎翁のひ孫にあたられる傑人。私自身も、相談役としてバックアップさせていただけたらと考えています。




企画・制作/山陽新聞社メディアビジネス本部
※2026年4月1日付 山陽新聞朝刊別刷り特集に原則掲載したものです。
※役職名や内容は原則取材時のものです。

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