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無人航空機用エンジン開発
 —昨年水素エンジンを発表しました。今後の展開は。
 世界最小の25・4ccの汎用水素エンジンが完成しました。計画通りの日程、スペックを実現できたことが大きな自信につながります。国内の二つの研究機関から電動ドローンに搭載する発電機用エンジンとしての開発依頼をいただいています。ドローン自体は電動で飛ぶのですが動力源の電気を作るための発電機を水素エンジンで動かすという構想です。水素供給インフラが整うまでには実用化にこぎつけたいです。
 —足元の業態転換の進捗(しんちょく)状況は。
 二社(米国・英国)の無人航空機メーカーとの共同開発に着手しております。前述の電動ドローンとは異なり、エンジン単体の推進力で飛行するタイプです。機体と制御システムは先方企業、エンジン開発が当社の担当となり、日本市場向けは弊社にて完成機の最終組立となります。今年6月、千葉市・幕張である日本最大のドローンショーでプロトタイプを公開、年内にはお客さまへの試験導入をもくろんでいます。市場は国内外です。国内向けは当社で完成機の最終組立を行い、国外向けにはエンジン単体を無人航空機メーカーに供給する形になります。
 —技術的な課題は。
 自社製エンジンで高高度を飛んだ経験はないのですが、水素エンジンの開発とは異なり、一般的な既存データがそろっていますので決して難しい技術ではありません。注意すべき課題は何といっても法令遵守(外為法、防衛装備移転三原則)です。開発中の無人航空機は警戒監視用なのですが、当社の目が届かないところでの武器・兵器転用や紛争当事国への流出には細心の注意が必要です。
 —大きな投資を伴いますか。
 喉から手が出るほど欲しいハイスペック加工機があるのですが、当社にとってはかなり勇気のいる投資になります。しかし、お客さまごとにスペックが異なるエンジンを作るには不可欠な投資です。これから参入する業界はワンオフ(オーダーメイド)に近い生産方式になるため、たった1台のハイスペック加工機が計り知れない利益をもたらしてくれるのではと自身に言い聞かせているところです。逆に、大量生産品の場合は投下資本力でコストが決まってしまうので必然的に大手が勝ってしまうのです。中小企業の業態転換はいかにして企業規模を抑えてリスクを抑えるかが肝だと思っています。




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企画・制作/山陽新聞社広告本部
※2025年4月1日付 山陽新聞朝刊別刷り特集に原則掲載したものです。
※役職名や内容は原則取材時のものです。

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