2024トップインタビュー
子どもの未来にエール送り170年
—御社は幕末の安政元年の創業で、今年170周年を迎えられました。学生服のトップメーカーとして発展してこられましたが、今も受け継いでおられる社風や経営理念はどのようなものでしょうか。由加神社(倉敷市児島由加)の参道で真田紐(ひも)を商ったのが始まりです。学生服では昭和3(1928)年に「菅公」の商標を得て全国に展開してきました。経営の根底には労使協調の精神があります。OB会などの場では、昔から社員のことを気にかけてもらっていた—といった声をよく聞きます。昨年、新たな10年ビジョンを打ち出しました。働きがいを第一に据え、追求していくことが柱です。従来の常識、慣行にとらわれず、新しい働き方を探っていく必要があると思っています。今年は4年ぶりに宝木(しんぎ)争奪戦が行われた西大寺会陽で祝い主を務めさせていただき、大変光栄でした。
—SDGs(持続可能な開発目標)の一環として、制服・体操服の循環型プロジェクトが始動しました。どのような狙いがありますか。
繊維リサイクルの独自技術を持つJEPLAN(ジェプラン)(川崎市)との協働事業です。ポリエステル繊維製品を回収してほとんどを繊維として再利用する水平リサイクルができます。子どもたちにその大切さ、面白さを伝えていきたいというご要望があり、制服、体操服の分野で私たちが協力させていただくことになりました。これから全国の中学、高校で役割の終わった制服や体操服の回収ボックスを設置する運動を展開しますが、何着回収するかという実績づくりではありません。新たに地下資源を採掘することなく、二酸化炭素排出を抑制しながら繊維を循環できる意義など、子どもたちを通じて大人にもしっかり啓蒙(けいもう)していきたいと考えています。
—鳥取県の米子工場に隣接して新工場を増設する計画も発表されました。2025年稼働予定と伺っています。
南九州の生産拠点も手狭になっており、たまたま米子工場の隣接地を取得できました。制服の多様化により高まっているブレザーやスラックスの需要に対応できるようにしていきます。制服は学校や子どもたちが望むものを作っていくのが使命です。バリエーションが増えれば在庫などの面でリスクもありますが、その中で利益を出していける体制づくりをしていかなければなりません。