2024トップインタビュー
紙とデジタルの融合が急務
—業界の動向、景況感を教えてください。デジタルへの移行や「脱・紙媒体」といった流れは変わらないのではないでしょうか。そういった流れの中、原油価格の上昇や円安により、紙やインク、電気代などが高騰。お客さまに価格転嫁をお願いしました。このため、ある程度の売上高は維持できたものの、印刷量が減り、工場の稼働率は下がってしまいました。コロナ禍で落ち込んだ販促関係の紙媒体などの印刷も戻っていません。国内広告費の4割がウェブに向けられている中、紙媒体だけで生き残っていくことは難しく、デジタルとの融合を急がねばなりません。
—どのように融合を進められるのでしょうか。
2020年に参画した日本創発グループは、当社のような印刷会社のほか、ITやメディア、セールスプロモーション、グッズ製作などの会社があります。グループ内の連携を進めるとともに、当社の強みである印刷技術を高めてまいります。昨年11月には、グループ内の印刷会社から人材を派遣してもらい、こすると香りが漂う香料印刷、左右で見え方が違う「ベローズ印刷」など特殊な印刷にも対応できる体制を整えました。
—昨年6月に新しい印刷機を導入されました。
増加傾向にある多品種小ロットでの印刷に適したデジタル印刷機で、蛍光ピンクや金、銀といった特別色のトナーで幅広い表現ができる機種を中四国地方で初めて導入しました。また、当社の関連会社に同8月、小ロットにも対応する最新鋭の製本機を配備しました。今後もより高品質で多様なサービスを提供できるよう、設備投資は積極的に行っていきます。
—今後の展望をお聞かせください。
デジタル化の進展とともに業界内の競争はさらに激化していくと思われます。「お客さまが抱える課題の解決に役立つ」という付加価値を持った製品、サービスを提供する課題解決型の営業を進め、他社との差別化を図っていきます。ただ、当社の軸が紙媒体という姿勢は変えませんし、昨年急逝した会長(故山川昌夫氏)が残した経営哲学を受け継がねばなりません。守るべきところは守り、社会情勢に合わせて変えるべきところは変える「不易流行」の考えのもと、これからも果敢にチャレンジし続ける会社でありたいと考えています。