2024トップインタビュー
植樹祭を通じ木材の魅力を発信
—玉野市にある岡山工場内に非住宅向け加工棟を新設されます。木材の総合商社である当社は、木造建築の柱や梁(はり)などのプレカット(事前加工)を主力事業としています。資材の高騰や少子化の影響で戸建て需要が減少する中、注力しているのが店舗や公共施設といった中・大規模建築。千葉県の工場ではこれら非住宅建物向けの特殊加工機を導入しており、商業施設などを手がけてきました。岡山の非住宅案件は、千葉の工場や県外の協力企業で加工していましたが、ここ1年で従来の約3倍受注が増加。そこで輸送コスト削減や納期短縮のため、岡山に特殊加工機の導入を決めました。新棟は今月着工し、来年1月の稼働を予定しています。
—木材活用の意義をお聞かせください。
循環型社会を目指す中で、木材の活用は重要です。CO2の吸収力が下がった古い木を伐採し、苗木を植えて山を更新することでCO2吸収量が増加します。また、伐採した木を鉄骨やコンクリートの代わりに建築用材にできれば加工時のCO2発生を抑制できます。脱炭素社会に向け、この両方を進めることがますます必要だと考えています。
—5月に岡山市で開催される全国植樹祭の木製オブジェ提供者に選定されました。
「環(めぐ)る木」と題した県産ヒノキを使ったオブジェで、金物を一切使わず、伝統的な仕口だけで接合した作品です。学生のアイデアによるもので、木と人、社会のつながりを表現しています。3次元CAD(コンピューター利用設計システム)でデータを作成し、特殊加工機で加工。シンプルに見えて非常に複雑な加工のため、当社の高い加工技術をPRできると思います。式典終了後は当社工場内に展示する予定です。
—地域貢献にも熱心です。
昨年は、スポンサーを務める千葉ロッテマリーンズの廣畑敦也投手による小・中学生向けの野球教室を開催しました。また、本年度は岡山県立大学の「『吉備の杜(もり)』創造戦略プロジェクト」に参加する予定です。プレカット時に出る端材の活用法を学生と共に考えたいと思っています。今年も引き続き社内改革に注力し、目指すのは「透明な組織」。若い社員もためらわず発言できる風通しの良い組織をつくっていきます。