2024トップインタビュー

　—業況はいかがでしょうか。
　屋外広告・建築サインなどの設計・施工を手がける当社の事業は主に建設市場と屋外広告市場に立脚しています。現在、建設市場の需要は旺盛ですが、資材や人件費の高騰、着工時期の延期などによって業界全体で採算性が悪化しています。一方、屋外広告市場は外出制限の緩和に伴い回復してきました。
　—昨年は東京都心の大型再開発プロジェクトに関わられたそうですね。
　一昨年から１年半がかりで、森ビルによる超大型プロジェクト「虎ノ門・麻布台ヒルズ」のサイン工事を手がけました。「Ｍｏｄｅｒｎ　Ｕｒｂａｎ　Ｖｉｌｌａｇｅ」をコンセプトにした、世界レベルでも最先端の街づくりで、洗練された建築設計・デザインが末端のサイン類にまで妥協なく盛り込まれています。そのため制作・施工に際しては、東京支社のみならず全社態勢で取り組みました。高度なご希望にお応えすることで当社のあらゆる部署の経験値が一段上がったと感じています。また、そうして得られた知見を地元岡山に還元していくことが、私共の使命であると思っています。
　—今年の展望は。
　建設業界は全国各地で再開発が相次いでいます。インバウンドも回復し、外資系ホテルや商業施設などの設備投資が活発です。当社では今秋から宮古島の外資系ホテルを手がけるほか、ＪＲ各駅周辺の再開発に携わる予定です。広島の商業施設では当社が新たに製作に関わった、ＬＥＤで光る人工大理石のベンチも採用されます。また大阪・関西万博の施設関連の引き合いも本格化しています。広告業界ではデジタル化が進み、都市部では３Ｄ映像を映す大型ＬＥＤビジョンが話題です。この流れは地方にも拡大すると見込んでおり、本社にデジタルサイネージの展示コーナーを設けています。
　—２０３２年には創立１００周年を迎えられます。
　一昨年、ＳＤＧｓ宣言を行い、「環境空間演出を通じて、文化的で持続可能な街づくりに貢献する」をテーマに掲げました。また企業パーパス（存在意義）を「人の心を豊かにする世界を創造する」と設定しています。いずれにも通じるのは、経済成長一辺倒の時代が過ぎた今、人々がより成熟した社会生活を送るため何ができるのかという命題です。１００周年に向け、当社は真に文化的で豊かな街づくりの一端を担ってまいります。