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2024トップインタビュー




木材資源を無駄なく、長く
 —昨年は創業100年の節目でした。101年目をどう位置付けておられますか。
 昨年は(木材価格が高騰した)ウッドショックの後遺症で、高値の在庫を抱えながら製品の価格が急落し、業績としては厳しい一年でした。これまで通りでは先がないとの危機感を持っています。大断面集成材をビルなどの大きな建造物に広げる展開が芽を出していますし、海外への輸出も多少スタートが切れているので、こうした分野を広げていければ次の時代に向けた新しい会社になれると思っています。
 —2025年大阪・関西万博に関連した動きが本格化しています。
 (万博の象徴的な建物である)木造の巨大屋根「リング」を中心に外国のパビリオンに関わっています。多くの方に見ていただき、木材活用の違ったアイデアが生まれることを期待しています。施設も、その場で見て終わりというのではなく、再利用が重要なテーマです。建物の移設や建材の再加工を含めて取り組まないといけません。
 —地域を挙げて進めているバイオマス発電の現状はいかがですか。
 21年に稼働した出力約5千キロワットの発電所が順調にきています。設備を改良することで木の皮や枝葉のような低質な燃料を活用できるようにもなり、ステップアップできたと感じています。真庭市全体でエネルギーが自給でき、経済が循環する地域を目指しているので、しっかりとついていきたいです。
 —人口減少で人材確保が難しくなる中、雇用環境面の取り組みは。
 昨年は厳しい業績でしたが、役員を除いた従業員の給与を上げました。現在はCLT(直交集成板)を利用した新しい木造社宅を計画しています。従業員の福利厚生の充実はもちろん、地域に開放できる空間を設ける構想もあります。(CLTをふんだんに使った)本社事務所に見学者が相次いでいるように、新社宅も木造建築の良さをアピールできる場になればと思っています。
 —改めて木材産業の使命についてお聞かせください。
 20年ほど前までは、木材を使いさえすれば環境に良いと考えていましたが、そんな時代はとっくに過ぎています。貴重な資源として無駄なく使い切り、長く利用してもらう。そういった思想にかなう製品を作り続けることができれば、まだ仕事をさせてもらえるのかな、との感覚です。




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企画・制作/山陽新聞社広告本部
※2024年4月1日付 山陽新聞朝刊別刷り特集に原則掲載したものです。
※役職名や内容は原則取材時のものです。

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