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2024トップインタビュー




地球の未来を地域と共創
 —学長就任から1年。当初から唱えておられる「不易流行」の大学経営は順調ですか。
 「不易流行」をどう形にするか、学内のあちこちで議論され始めたように思います。いつの時代も変えてはいけない「不易」とは、本学に関わる全ての人の幸福を追求すること。変えるべきは変える「流行」とは、社会情勢を見極め時代を先取りする改革を成すことと定義しています。激動の現代においてこの二つをきっちり考えておかないと、進むべき道を見失うことになります。ことあるごとに言ってきたおかげで、各部署で、着実に浸透してきています。
 —具現化した例はありますか。
 昨年発足させた技術職員の組織「総合技術部」は「流行」の一例です。働き方改革、技術継承、人材の高度化といった観点から、研究者の技術的サポートに当たる技術職員を一つの部にまとめ職階制も導入しました。これにより職員たちがサポートにとどまらず研究戦略に参画するケースが増えています。今後は研究者についても、教育やマネジメントなど、より適性に合った職務に就くのを可能にする“複線人事”を制度化したいと考えています。
 —研究の面でも先進的な取り組みが進行中です。
 本学は昨年12月、文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に採択されました。この事業の助成対象には、新エネルギー創出に寄与する人工光合成や、砂漠のような極限状態でも育つ農作物の研究などが含まれています。まさに近い将来、世界が直面するであろう課題を先取りしたテーマです。この事業では、大学が社会を変える機能を有するかどうかが問われ、申請69校のうち採択は12校でした。本学が研究主体の大学であるということが公に認められたと捉えています。
 —地域貢献の取り組みはいかがでしょう。
 デジタルを活用した多様な医療・保健サービスで地域の健康を守る吉備中央町の「デジタル田園健康特区」事業に引き続き力を入れています。救急救命士が救急車内で超音波検査を行い画像データをいち早く医療機関に送る実証研究(最終段階)を展開しており、有用性が間もなく認められそうです。実現すれば岡山をはじめ全国の中山間地の救急医療にとって朗報です。今後も、地域と地球の未来を共創する大学づくりを目指し、知恵を絞ります。




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企画・制作/山陽新聞社広告本部
※2024年4月1日付 山陽新聞朝刊別刷り特集に原則掲載したものです。
※役職名や内容は原則取材時のものです。

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